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東都アロエ

回天艦見習二等の安藤君を魅了した榎本総裁の記録

久々に箱館ネタです。

よく、榎本の「洋才」と松平の「和魂」と称されて、太郎さんの人望の篤さ
みたいなものが言われております。
しかし榎本釜次郎という人をいろいろ調べておりますと、
本当にそうなのか?という大いなる疑問がフツフツとわくのであります。
松平太郎さんも好きですけど、なにせ史料が少ない人なので、
よくわからない。人望が篤い人だったかもしれない。
でも榎本釜次郎さんもそれに負けていなかったのではないか、と。
今までこのブログで紹介してきた榎本釜次郎のエピソードをご覧いただければ、
同じ思いを抱かれている方も多いのではないかと思います。

さて、そこでまたまた出会いました。
3000の兵を率いるカリスマ大将として、申し分のない器量を
発揮している榎本釜次郎のある日の一場面です。





『旧幕府』3号収録の安藤太郎の「美家古廼波奈誌 函館始末其一」より
(読みやすく「」カッコほか一部かえてあります)

注:宮古での戦い後、箱館に戻ってきた回天艦の甲板での出来事です。

(略)・・・・・・回天号の函館に帰るや本艦の甲板上死屍いまだ狼藉たり。
時に榎本総裁は来たりて、死者には帽を脱して念仏し、
負傷者はねんごろに慰め、布施平氏(見習二等)は気息奄々として
倒れ居るを見るや涙を揮(はら)いて進み近づき、
「御代々様にも御満足にあらせらむ」と云うや、
布施氏は莞爾として喜色面にあふれ気管に微音を響かせて瞑せり。
あたかもネルソンが神に感謝す、我が職分を完ふせり、と云いしに異ならず。
君(安藤)はこの時傍らに立ちしがその忠烈に感動し覚えず四肢を戦慄せしとぞ。
実に当年(当時)の榎本君は衆のために信ぜらるると。
あたかも古英雄〈ヒーロ〉のごとくその一言一言は、
□千有余の猛士に生命を投げ打たしむる勢力ありしとかや。
                        戸川残花識す


どーでしょう、釜さんのこのカリスマっぷりは!
大将たる人というのは「一言入魂」が大切なのではないかと思います。
人となりがいいとか、演説がうまいのもいいけれど、なにかのおりに誰かに語る一言が
いかに他人を魅了するか。つまり相手のハートをわしづかみできるかどうか。
そしてそれが作ったものではなく、自然にあふれ出てきた言葉であるほど、
「人たらし」であると思うのです。
このときの榎本釜次郎さん、さすが蝦夷嶋総裁!って感じでは
ありませんか???
釜さんの一言で、一人の青年が「莞爾として喜色面にあふれ」、
笑顔であの世に旅立ちました。
さらにそれをみていた青年を「感動し覚えず四肢を戦慄」させております。
じゅうぶんに「和魂」ありますよね??
(つかこの人、ありすぎ・・・・・・・・・)
つまり榎本さんは「洋才和魂」のミックスタイプの人(笑)であると。

とこういう史料をみてくると逆にどーして榎本が「洋才」だとかなんとかって
松平太郎さんよりも人望がなさげな評価になっていて、
(太郎さんはちっとも悪くないんだけどネ)
本人の実像と違う評価が生まれてしまったのでしょうか。

やっぱり諭吉のせいなの!?(←まだあの映画の字幕の影響が・爆)

なんだか、こういう事をみていると、
現代における日本の、歴史に対する評価をどこまで信じてよいのか、
本当にわからなくなります。
ひとえに我らが不勉強で、誰かの評価を繰り返し本ですり込まれたまま、
それを疑おうとしないという致命的なマイナスポイントがあるのだと
大いに反省しなくてはならないのですが。
実像を知るためには、コツコツと古い書き物や史料にあたらないと
いけないな~~と思います。
Commented by Koto at 2010-10-29 00:14 x
素晴らしい記事をありがとうございます!!
改めて釜さんに惚れ直した次第でございます!!
そしてまたしても連絡遅れてて、済みません(><)
近々ストーカーの様なメールが届くと思います‥
Commented by はな。 at 2010-10-29 09:35 x
kotoさん、御反応いただきありがとうございます☆
釜さん記事にいつもコメントくださるのはkotoだけですワ(笑)!
今回は釜さん的にたいへんアゲアゲな内容だと思うので、
自信をもってお届けしました。楽しんでいただいて嬉しいデス。
(いつも爆笑記事ばかりなのでいささかホッ・・・・・・)

そして。
ストーカーのようなメールも楽しみに
お待ちしておりますヨ♪(爆)
by aroe-happyq | 2010-10-26 18:14 | 箱館または釜さん | Comments(2)