人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

東都アロエ

榎本さん、リアルに「仁」な人

「仁」は時空ファンタジーですが、こちらは実際の話。

以下、図書館でたまたま読んだ論文によります。

南雲清ニ・伊澤一男
「キナの国内栽培に関する私的研究(第3報)
  榎本武揚によるキナ導入の建議書について」
   (薬史学雑誌45号、2010)


キナというのは南米ペルー原産の植物で、その樹皮に熱病を治療する成分
があり、とくにマラリアの特効薬「キニーネ」の原料として有名です。

これをジャワで栽培していたのがオランダ。
榎本武揚は長崎海軍伝習所時代に、化学を教わったオランダ軍医のポンペや
同じく伝習生(医学伝習)の松本良順等から、このキナの有効性を
知識としてインプットされていたらしい。

その後、オランダ留学をはたし、途中滞在したジャワで栽培の様子を
視察したようです。
そして帰国・・・・・・でいろいろあって(笑)、
明治7年(1874)2~3月ごろ、榎本武揚は明治政府に対して
キナの日本導入についての建議書を提出。
翌年明治政府が動き、明治9年4月、はじめてキナの苗がオランダ政府の
協力でジャワから日本へ導入されるにいたった、というわけです。
(実はキナのついでにコーヒー栽培のための苗も同時期に導入)

もちろん、オランダ政府といえば、太いパイプをもつ榎本さんなくては
実現できません。
つまり明治においても、なんのかんのといっても、
幕末のオランダ留学も立派に役になっているのでござる♪

そして榎本さんは、
医者でもないのに、この知識の豊富さはどうなんだ!?
ちょっとこのスーパーセイミ人(精密→江戸時代西洋化学全般をこう呼んだ・笑)
ぶりはすごくないでしょうか????


ところで、この建議書をみると(論文に一部が掲載されている)

キナ樹のことが人々にとって特に重要なことである。
私も4年前この件についてある旧参議に諮ったのだが、
中止となった。


とかおっしゃっているんですよ!
4年前?
そうなんです、4年前といえば明治3年。
榎本さんは獄中からキナ導入を叫んでいたんであります☆

獄中からでも建議書出してたなんて!
この日本をどうにか少しでもよくしよう、人々の健康を守ろうとする
熱意!!

本当にこの人って、知識豊かだけじゃなくて、
良い人!
「仁」&「義」ともに篤い人だとあらためておもいました。
そして、かっこいい!

森鴎外が軍医時代にビタミン導入をうまくできなくて
脚気を治せなかったことは有名でも(爆)、
こうした旧幕人の「良い話」って知られてないですよねー
マラリアの特効薬なんだけどな~~、すごいことなのになー。

そのバランスの悪さがホントにもどかしいな~~~~~と思います。

このキナ導入については、建議書の内容も含め、
ぜひぜひ論文でじっくりと堪能くださいませ☆
国会図書館ではオンライン複写もできます~~~♪

以上、昨年の論文ということで、内容についてはほんのさわりのみ
お伝えしました。
(こーゆーのがあるよ、とお伝えしたかっただけ♪)
Commented by enokama at 2011-06-28 01:13
「キニーネ」に関しては、松本良順先生と緒方洪庵先生の間で
日本人に対しての「効用性」に関して、かなりの議論があった話もあります。
「ポンぺの理論ばかりが万能ではない」とか、きつい事も言っていたようですけどね(苦笑)

JINでは松本良順先生の身の振り方も出てました。
洪庵先生が急死することなく、まだ奥医師であったとならどういう行動に出て
箱館でのある意味、弟子同士での戦いにはどういう思いでいただろう
とも考えてしまいました。。。

最後に「仁友堂」のメンバーがそれぞれ「スーパードクター」で
名を残していたのも微笑ましかったです!
Commented by はな。 at 2011-06-28 10:32 x
enokamaさん、こんにちは!
>「ポンぺの理論ばかりが万能ではない」
わはは☆
松本&緒方両ドクターの熱い議論が目に浮かぶようですっっ
榎本の場合、ドクトル・ポンペの話を聞いて、議論はまず置いて(笑)とりあえず導入してみて、ダメならやめりゃいいというような感じで「まず実行!」してみたかったのではないかと思います(笑)。とりあえず~して、ダメならやめりゃいいというちょっと無責任っぽい冒険心の強い江戸侍は実に多いです(爆)。

>洪庵先生が急死することなく、まだ奥医師であったとなら
緒方先生には長生きしていただきたかった!
でも江戸城奥医師組合って既得権の亡者で「出る杭は壊す」的に恐いですから~~~、あのまま江戸で奥医師続けていたらやはり心労で健康を害していたのではないかと(涙)。

>「仁友堂」のメンバー
いとも簡単に仁さんを忘れていたのに爆笑でした。咲さんほど仁先生に思い入れがなかったのね、って突っ込んで見てました(爆)
Commented by アルク at 2011-06-29 01:00 x
興味深い論文のご紹介、ありがとうございます!さっそく探してみます☆

「JIN」ご覧になられたんですね。私は面白いという評判を聞きつつも結局見ずじまいでした・・・
最近の大河にはがっかりさせられっぱなしで、どうか自分の好きな人物が主役にされませんようにと祈っているくらいなのですが(笑)やはり原作、脚本の問題なんでしょうね・・・
Commented by ぐら at 2011-06-29 07:00 x
ちょっ……
榎本さん……かっこよすぎる!!!!
こういうのはなんかで広まるべきだよー!
Commented by はな。 at 2011-06-29 09:47 x
アルクさん、こんにちは!
>最近の大河にはがっかりさせられっぱなしで
激しく同感です!!!!!!
本当ぉぉぉぉにひどすぎます。目を覆うばかりの惨状で・・・・・・。
このごろは昔の大河の再放送や総集編の放送のほうが楽しみだったりします。

>どうか自分の好きな人物が主役にされませんようにと祈っているくらい
まったく同じ祈りを捧げる日々をおくっています(笑)。
前は榎本さんも大河の主人公になったら知名度あがるのにー、なんて思っていましたが、今はむしろやめてほしいと、NHKよ釜さんにきづかないで!と(笑)思いますっっ。たぶんそのほうが歴史上の人物たちも幸せ・・・・・・というぐらい、スタッフの質が落ちていて、とても好きな人物を一年間お任せできません(涙)。
「仁」の場合は時空ファンタジー医療モノ(まるでなんかのゲームみたい・爆)なので、最初から安心してみていましたが、こちらは人気漫画の原作というしっかりとした後ろ盾があったのがないよりも幸いしたように思います☆
Commented by はな。 at 2011-06-29 09:59 x
ぐらさん、嬉しい言葉をありがとうございますっっ!!!
かっこいいんですよ~~~~♪

このほかにもあまり目立たないけど(ってそこが問題!?・爆)、
けっこう榎本釜さんって日本の近代化に貢献してるのです。
ま、江戸っ子で旧幕側なもんで、さりげなく消されがちな歴史ですが(笑)。
ある意味、羽柴家康さん事件と事情は真逆ですが、施政者側による歴史情報の抑制(爆)がここでも起きているのかしら、みたいなっっ

でもきっと榎本さんは自分の素敵部分が後世に伝わってなくても、あんまり気にしなさそうです(笑)。
(根が純情シャイだから・爆)
Commented by きりゅう at 2011-06-29 14:43 x
そういえば緒方洪庵先生は「コレラにキニーネは効かない」本を自費出版して配り、それを松本良順らに猛反発され、その反対意見をまんま載せて再出版して配り直した人でしたね~。この勝負、洪庵先生の勝ち?(^^)
Commented by はな。 at 2011-06-30 09:27 x
きりゅうさん、どもです!
>「コレラにキニーネは効かない」
これは緒方先生、正しい!
だってコレラって高熱でないんですよねっっ(お熱が出なくて医師が首を捻っている間に島津斉彬サンは重篤に至ってしまったよーですし・汗)。
熱病に効くキニーネはコレラにはきかない☆
でもマラリアには効く♪

by aroe-happyq | 2011-06-27 10:46 | 箱館または釜さん | Comments(8)