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東都アロエ

「川村清雄展」 江戸東京博物館

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公式サイト→こちら

今週の週末まで開催している「川村清雄」展に
ギリギリでいってまいりました。

どちらかというと、代々のお庭番の「川村家」や
初代新潟奉行や長崎奉行を歴任した清雄の祖父にあたる修就さんに
興味があって、旗本「川村」家の史料が楽しみで行ったのですが、
清雄さん人物のオモシロイさ、そして美しい絵の数々に魅了されてしまいました(笑)。

幼いころから画才を開花させた清雄(嘉永5年生まれ)は、
祖父の大坂町奉行就任時には大坂へ付いていって絵の修行をしたそうですが、
徳川家瓦解とともに家督を継ぎ、駿府へ移る徳川宗家当主家達の奥詰に
抜擢されます。明治4年に徳川家派遣の留学生としてアメリカへわたりますが、
徳川家の「官費」留学生の手前、絵を習いたいという気持ちを抑えていたところ、
大久保一翁に「絵をやりなさい」と言われたとか。結局、アメリカで画才を見いだされて
フランス、イタリアへ絵の勉強へ行くことになります。
帰国後、大蔵省造幣局の紙幣のデザイン係となりますが、イタリアお雇い技師と意見
が合わないとかで、すぐに辞めてしまいます。
(一説には、印刷局の女工さんと053.gifして辞職したとか・・・。さすが
イタリア帰り・・・・といっておきましょう)
その後は、勝海舟夫妻に可愛がられて、赤坂勝邸に住み、ひたすら画業に専念。
ただ、おそろしく筆が遅く、納期に間に合わないことがしばしばで(汗)、
絵画を商売にするにはちょっと不器用なひとだったようです。
フランス派全盛の明治画壇では、
イタリア伝統派の清雄はいまいち注目されませんでしたが、
しかし勝海舟や徳川家達というすばらしき庇護者に恵まれ、
また旗本や江戸趣味の人々に愛されて、「油絵師」として、また挿絵師として
江戸の伝統を描き続けたそうです。

近年、清雄の絵と断定される絵画がいくつも発見され、
「幻の洋画家」とまでいわれていた川村清雄の名が静かに注目されています。
江戸博での展示のほか、目黒区美術館でも「もうひとつの川村清雄展」を開催中。
目黒区美術館サイト→こちら
(江戸博の半券を持っていくと、割引されるそーです!)

わたしは後期展示にいったので、惜しいことに家茂公像(前期展示)
をみることは叶わず、なぜか篤姫をみるハメになりましたが(笑)、
この有名な篤姫像も、実物をみると、背景の模様の美しさ、細かさにびっくり!
何度みても西太后にしかみえない人物部分はさておき(←これは川村さんのせいにあらず・笑)
ホントにキレイな素晴らしい肖像画でした。
「筆が遅い」川村清雄さんは、どうやら完璧主義者らしく、
細かい装飾にもたいへんなこだわりをもって、描いたようです。

家茂、家達、篤姫(天璋院)、慶喜、福沢諭吉、勝海舟・・・・・・等々がお好きなかた
には特にオススメの川村さんの絵です。よく似てますよ!
(思えば、わたしの贔屓すじとはまったく接点のない人だったらしい。残念!)

そうそう!展示で気になったのが、
静岡移住者の美男美女番付という、手書きの史料。
川村清雄は前頭に書かれるぐらい、整った顔でした(笑)。
でもわたしが気になったのは、大関に名があった「堀 〇之丞(か助)」。
堀家もいろいろあるので、決めつけられませんが、堀利煕の老父も息子も
静岡に行っておりますので、その息子とかなにかだったらいいな♪と思った次第。

ここには書ききれませんが、お庭番だった清雄の父の護身用の「手鎖」とか、
勝家でのエピソードとか、留学中の清雄と徳川家達とのかわいい手紙(英文です!)の
やりとりとか、いろいろと旗本ファンには「おお!」と思う展示があって、
楽しかったです☆

なによりも、江戸後期の爛熟した「江戸絵画」界の流れを受け継ぎ、
それを洋画で表現した旗本出身の画家の名が復活しているというのは
嬉しいかぎりです!

川村清雄の油絵は、印刷物だとみえない、絵の具の盛りとか、
木目を大胆に使った持ち味がとってもイイので、
ぜひぜひ実物をご覧になることをオススメしまーす。
Commented by きりゅう at 2012-11-28 23:06 x
ワタクシはこれ、前期のを見ました。
実は、鹿鳴館の復元を見るために行ったついでだったのですが(おひおひ)よかったですよね~~!
後期が展示内容変わっているとは知りませんでした。
最近、そういうの多い……。博物館サイドは何度も足を運んでもらいたいんでしょうが、見る方としては、1回で全部見たかったです(汗)
Commented by はな。 at 2012-12-02 09:31 x
>見る方としては、1回で全部見たかったです
そうなんですよねっっ
1~2月に2度も同じ博物館なんて滅多にいくもんじゃ
ありませんですよね~~~~っ
それに展示をかえなくてはならないほど、たくさん種類が
豊富というわけでもないのに(笑)。
by aroe-happyq | 2012-11-28 18:23 | 幕臣系 | Comments(2)