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東都アロエ

勘三郎さんに感謝 @変わりもの歌舞伎ファンより

朝から思いがけないニュースに接して、
驚いております。

来年の新しい歌舞伎座のこけらおとしの頃には、
当たり前のように復帰なさるものと信じ切っていたので、
重病説が流れようとも、気にしてこなかったのですが。

うちのブログは追悼記事をやってこなかったのですが、
今回は感謝の記事を書かせていただいます。

江戸時代好きとしては、歌舞伎は古典ではなく、
現代劇・・・・・という感覚があるのですが、
それを平成の時代に実感させてくださったのが勘三郎さんでした。

TVやインタビューでお見かけするお人柄、
そして俳優として素晴らしいのはもちろんですが、
舞台プロデュースの才能はほかの歌舞伎俳優さんには真似ができない、
本当に優れたものでした。
(なにかの本で「初代勘三郎を彷彿とさせる」とありましたがまさにそのとおり)
もしお元気になられたならば、
これからどんな奇想天外な新作歌舞伎を見られただろうか
とおもうと、あんまりにも早すぎるお別れです。

とくに夢の遊眠社ファンとしては、
新橋演舞場でなく、南座でなく、あの歌舞伎座で、歌舞伎座で!!!
野田歌舞伎を3作も実現してくださった!ことが忘れられませんっっ。
野田歌舞伎のおりの、歌舞伎座3階は、
(老若男女、ここまで階段を上がってくる情熱を持つ歌舞伎&演劇好きの溜り場)
いつもの歌舞伎座3階と明らかに違って、
異様なまでの観客の熱気に包まれていて、その期待値みたいなものの
高さに、いつも歌舞伎を一緒に見に行く友人と「今日はなんかすごいね」
とドキドキしたものです。
古典がお好きな方々にはいろいろご意見があったようですが、
わたしのように歌舞伎には伝統を大切にしつつも、
ときには「現在進行形」であってほしいファンにとっては
本当に忘れ得ぬ経験でした。
・・・・・もう4作目はないと思うと、本気で落ち込みそうです。

野田以外に、宮藤官九郎の歌舞伎、コクーン歌舞伎などもありました。
(たしか三谷幸喜の歌舞伎も予定に入っていたはず・・・・嗚呼)
浅草に小屋をたてて、隅田川を背になんて、粋な空間を演出されて。
これらもすべて勘三郎さんが頑張って松竹を説得してこそ、
存在したものでした。

近年、勘三郎さんが体調を崩される前ですが、
歌舞伎、外部公演、映画等々なんだかちょっと働きすぎじゃないかと
思っておりましたのです。
前にもふれたかもしれませんが、歌舞伎俳優さんは働き過ぎ。
多くの大御所俳優さんが大病なさるのも過労が大きいのでは?
所属事務所(つまりは松竹)も、少しは俳優の健康維持に留意してほしいものです。

わたしが歌舞伎を見始めた前後ぐらいから、勘三郎さん(当時は勘九郎)
がいろいろチャレンジを始められておりました。
はっきりいって、見始めたころの歌舞伎座はシルバーな空間で、
自分のような若者の客はとんとみかけない、静かな劇場(こや)でした。
活気がないなぁ・・・・と思っていたら、それから次第に変化していきました。
今の歌舞伎はブームとさえ呼ばれるほど賑わっていますが、
その賑わいを呼んだ大きな部分に勘三郎さんの努力があったと、
わたしはそう感じています。
これからじわじわと「勘三郎さんのいない大きさ」みたいなものが
影響してくるのではないかと、ちょっと心配です。
(歌舞伎だけではなく、演劇の多方面にわたって・・・・)

もっといろんなチャレンジが見たかったというのが本音ですが、
それはご本人がいちばん悔しく思われているだろうと思いますので、
これ以上申しません(涙)。

今まで本当にたくさんの素晴らしい舞台を
生みだしてくださって、本当にありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りします。
by aroe-happyq | 2012-12-05 17:11 | ほんの世間話