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アジアンエンタメ&お江戸後期。外国奉行や長崎海軍伝習所がご贔屓☆ BYはな。

桜餅と阿部伊勢守の恋(笑)~その検証付き【追記あり】

桜餅といえば、関東ではお江戸向島の長命寺。
今でも山本屋の桜餅はほぼ同じ場所で売られていて、名物です。

ちょうど桜も満開だし、自分は阿部伊勢祭りを続行中だし、ということで、
阿部正弘、色白、ぼっちゃりハンサムの微笑みの貴公子(爆)の恋の話題をひとつ。

出展は三田村鳶魚の「桜餅」より。以下簡単に引用。

それは安政4年こと。
以前、本所の阿部家下屋敷にご母堂が住んでいて、
親孝行な正弘サンは月に2,3回も会いにいっていたということに触れたと思うのですが、
やはりその折のこと。

巷で評判の美味しい桜餅を母親にお土産に買っていこうと、
老中阿部(37)は遠回りして長命寺の山本屋に寄ったそうな。
その山本屋の次女おとよ(17)は三代豊国の「江戸名所百人美女」という
美人の町娘の錦絵シリーズに取り上げられるほどの美人さんだった。
彼女は店に出ていたので、客が引きも切らさずだったという。
(江戸東京博物館、または東京国立博物館に所蔵の『江戸名所百人美女 長命寺』のモデルがおとよです)

情報通の阿部さんが駕籠のなかから、そっと彼女をすき見してもおかしくない。
(お買い物はお付のみなさんがやってくれますので) 
彼女をみた正弘さん、どうも胸にドキュンときたらしい(爆)。
でも・・・・・杉の自伝のような、遠慮がち?な人なのですぐに行動にはでなかったようで。
何度か桜餅を買いつつ、おとよちゃんを眺めたり、たまには直接声をかけたかもしれない
(それではただのファンのひとり状態だが)。
だけど、それ以上の行動で出ず、もたもたしていた(笑)。
ところがたいへんな情報がもたらされた。
おとよちゃんを、御三卿の田安慶頼が狙っているらしいとのことだった。
この人も、山本屋の隣の牛島神社参詣にかこつけて(爆)、おとよに桜餅を持参させて、
評判のかわゆい茶屋娘を品定めしたよし。
これはまずい!とられてしまう、ということで、
阿部正弘さんは慌てて山本屋に人をやって、
おとよに「阿部家に側室として仕えませんか?」と申し込んだ。
かくてめでたく、阿部さんはおとよさんと結ばれましたとさ(笑)。

2年後に阿部正弘は死んでしまうので、
水戸斉昭などには「勢州も15歳の若い新妻をもらって、酒も登城前から二升も
用てもきちんと御役も勤めるほどの人だから・・・・」精も根も尽き果てたんだ・・・・って(笑)
噂されちゃいましたとさ。


・・・・・・・以上が三田村翁の「桜餅」のお話。


せっかくいいお話なのですけど(笑)、
さて、ここからは「ザ・検証TIME」!!!!で~~す。

まず、根本的にこのお話には無理があるのです(涙)。
錦絵の「江戸名所百人美女 長命寺」は安政4年11月に出版されましたが、
阿部正弘さんは37歳ではなく、39歳で、
この年の6月17日に亡くなっております~~~~~~。
錦絵の評判なんて、知らずにあの世へいってしまわれました~~~~。

そんなわけで残念ですが、この「桜餅」のお話、三田村翁の記憶違ひが・・・・・。
阿部正弘さんのエピソードとしてけっこう有名なお話で、
小説とか歴史読本の読み物でも登場するのですが、
みんななぜ三田村翁を無条件で信じる?? 
なぜ「安政4年」というあたりで気がつかないのだ~~~っっ(笑)。

阿部伊勢守の本を読んでいると、あまりに立派な話ばかりなので、
・・・・・つまらん!お前の話はつまらん!という大滝秀治さんのように叫びたくなるのです(笑)。
だいたい、人間などというもの、頭のてっぺんから足のつまさきまで聖人君子なんて
いやしません!(きっぱり)
どっかに、スキがあるものです(爆)。
この阿部さんだって血の通った人間だ、老中首座に昇りつめた野望の男だ、
なにかあるはずだ、とんでもないバカをやっているはずだ、と思うわけです。
そういうわけでこの阿部伊勢さまのちょいスキャンダルはまさに大歓迎!
だったのですが(爆笑)。←しかも37歳男のコイバナ(寒い??)


【ここからは追記】(2007/11/27)

桜餅屋さんのおとよが阿部正弘の下屋敷に奉公にいったことは
事実らしいということはその後見た『藤岡屋日記』の、
安政3年の「ちょぼくれ武士」にその事がでていて、
評判のお嬢さんを独り占めした阿部正弘の評判が落ちたことが出ておりました(笑)。
(といっても、ちょぼくれ武士が100%正確かというと・・・それも微妙ですが
江戸で噂になったことだけは間違いありません)

ただ、安政3年にすでにおとよは下屋敷に奉公にあがっているので、
その翌年秋以降に出版の「江戸名所百人美女」のほうが後というわけで、
通説とは、順序が逆のようですね。

・・・・そもそも、例の錦絵が絡んだおかげで、話がややこしくなってしまった
ようです。

というわけで、整理してみますと、
三田村鳶魚さんの「桜餅」を扱うときは、
年号、阿部の年齢を訂正しつつ、扱いましょうということでした。
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by aroe-happyq | 2007-03-31 09:58 | 幕臣系(老中など) | Comments(0)

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