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東都アロエ

龍馬の手紙

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龍馬の手紙 宮地佐一郎著 講談社学芸文庫 
アマゾン→こちら

天地人もあと3回とか。
「坂雲」が挟まってはいるけれど、
書店にいくとすでに龍馬関連本が並び始めていて、
来年の大河へのカウントダウンがはじまってます(笑)。
龍馬さんというと、現在放送中の「仁」に登場する内野龍馬さんが
かっこカワイくて、すんごくいい感じですが来年の人はどうなんでしょうか??

前にもブログに書いたと思いますが、龍馬ブームというやつが好きではない
だけで、ご本人についてはまったく遺恨はありません(笑)。
というかどういう人なのか、ちゃんと知りたい意欲はかなり満々であります。
どんよりとした薩長に比べて土佐の人はなにせラテン系で、
江戸ラテン系を愛する人間としてはたいへん親しみがあります(笑)。
しかしここ数年なかなか良書に恵まれず、その想いは果たせずにきました。
去年のいまごろ、ようやく松浦玲氏の『坂本龍馬』を読んで、概説的なところを
押さえましたので、いよいよ書簡本に手を出そうと!決意した次第。
で春先にゲットしたわけです、この本を(笑)。

結論からいうと、とっても楽しかったです!




ところが開いたとたん前書きで「坂本龍馬の如き巨人、天才・・・」と一行目から
やられてしまい、巨人で天才かどうかは書簡集を拝見しつつ判断したいのにな~~と、
はげしく読書意欲を失いまして。秋まで放置してました(笑)。
英雄とか偉人が苦手な自分ですので。いろ~~んな国の歴史を眺めてきて、
およそ英雄とか偉人ほどアクが強くロクな奴がいないことを知ってしまった身としては、
いきなりアゲアゲは困るのであります。
(江戸っ子じゃありませんが「人間一生糞袋」というほうが余程哲学的だと思います)
今となっては幸いでしたが、司馬作品は『項羽と劉邦』で「つまんねーの」と思って
以来まったくノータッチだったため「竜馬がゆく」等のフィクションの竜馬を
知りません。まったくの龍馬初心者なのであります。
おそらくこの書簡集もフィクションで竜馬ファンになった人向けなんでしょう。
でも書簡集から読み始める変わり者もいるのでありますよ~~(笑)

で気を取り直して、まず通して読み終わりました。
龍馬の書簡部分とその背景を紹介してくれる解説文で構成されておりますが、
なにせ640Pほどありまして、文庫としては超ブ厚い本なのでじっくりと他の本と
照らし合わせて深く読むにはもう一度読み直しが必要って感じです。
でもようやく素のままのご本人様にほんの少し近づけて、よかったです。
やはり書簡や日記はいいですね♪
どういう人か、人物の輪郭がはっきりいたしました☆

龍馬さんて、間違いなく面白い人!(爆)
文章にリズム感があって読みやすく、ユーモアたっぷりサービス精神旺盛で
まさに土佐のラテン系さんです。
けっこう思いやりがあって、ときどきナイーブ。人に好かれそうだし、人を好きそう。
幕末の巨人かどうかといわれると・・・・・・日ハムがんばれ!みたいな(笑)。
解説文にありましたが彼について「快楽主義者エピキュリアン」だという言葉は
かなり的を得ていると思いました(笑)。
勢いで生きている部分が・・・・・・けっこうある。
こういうところはフィクションの誇張ではなかったんですね(爆)。

文久3年5月17日の乙女さんに送った手紙、

此頃ハ天下無二の軍学者勝麟太郎という大先生に
門人となり、ことの外かはいがられ候て、
まずきゃくぶんのよふなものになり申候。
・・・・(略)・・・・・・・・
すこしエヘン二顔してひそかにおり申候。
達人のみるまなこハおそろしきものとや、
つれづれにもこれあり。
猶エヘンエヘン、   
かしこ
 (64P~)

あまりにも有名なエヘン顔書簡ですが、
勝海舟の門人となり、認められて客分になったと可愛くも
有頂天状態の龍馬さんです(笑)。
フツーならここまで心酔したら一生付いていきますという
ことになりそうですが、そうならないから自由人龍馬さんは面白い!??
しばらく勝の右腕になって奔走するけれど、そのうちに「卒業」してしまうし。
(師匠の金50両と共に去り、一度戻って、
また去った・・・・という途中経過はありますが)

さて話は戻って。
この本の解説にもありましたが、確かに龍馬の手紙は面白いし、
文学性もあるといわれればありそうです。
おそらく幕末の人物の手紙として、はじめて龍馬の手紙を読んだら
おお!素敵だ!と思うことでしょう。
でもごめんなさいまし。
ユーモアがあって、リズム感のある文体、しかも格調が高いようでぐんと下がる
ジェットコースターのような手紙を書く男・岩瀬忠震を知っていると、
それほど感激・感動はないのであります。
というか「あ、こういうノリ知っている」ぐらいの、
むしろデジャブみたいな(爆)、そんな感じです。
まさかと思いつつ、手紙のテンションにおいて(今のところ限定ということで)、
龍馬さんと忠震殿が似ている・・・・ということに驚愕いたしましてございます(爆)。

ま、一人は土佐ラテン系、一人は江戸ラテン系。
共通点がないわけではありません(汗)。
二人が出会っていたら意気投合しそうで、コワイです。
(でも二人がタッグを組んだら日本は滅んでしまっていたかもしれない・笑)
とはいえ、もし最初に龍馬さんの手紙を読んだとしてもハマらなかったなー。
やっぱり自分としては、地味でも不言実行!または言語明瞭!な実務派が好きなので。
龍馬さん、イマイチ有言半実行系じゃないですか(笑)。実務派でもないしネ☆
岩瀬にテンションが似ているなーと思った段階で、永井尚志と龍馬がなにゆえ
「ヒタ同心」なのかもなんだか納得しちゃいましたです、ハイ。
永井からしたら「ああ、こういう人よーく知っているな~」って懐かしい感じ?(笑)
でも、
此度薩長と共にせる計画が失敗に帰したならば、耶蘇教を以て人心を
煽動し、其ドサクサまぎれに幕府を倒して終ふ 
(P451)
という慶応3年長崎にて佐々木高行に語ったという、ただの勢い!?の
めちゃくちゃな作戦発言(笑)をみると、こういうあたりは似ていませんな(キッパリ)。
幕府を倒したい気持ちはよく書簡でもわかるのですが、なにせ倒幕後の
マニフェスト(爆笑)がいまいちみえてこなくて、不安になります(爆)。
(これは龍馬だけの問題ではないけど)
「船中八策」も幕臣ファンとしてはすでにどこかで聞いたことのある
上申内容ですから・・・・(汗)格別に感動はありませんです、ハイ。
土佐でいえば後藤象二郎あたりは幕府亡き後の話なども、
薩摩の小松さんあたりと
慶喜系官吏(簡単にいえば永井等のことですが)のあいだで
話されていたようですが・・・・・。
いくら徳川贔屓でも、体制が末期症状なのはわかるし、
当時の幕府保持論者の意見にはまったく賛成しかねます。
むしろ幕府解体についてはおおいに賛成派なもんで(慶喜派寄りです)、
慶応3年秋ごろの龍馬を含めた革命への動きはたいへん興味深く、
書簡をみてもわくわくさえするのですが、龍馬さん肝心なところで歴史の舞台から
消えちゃいましたから~~~~。
もったいない!という気持ちはファンでなくとも思いました。
しかもそのあとの慶応3年12月の王政復古クーデターからはもうグダグダで、
あり得ない方向へと日本の運命は堕ちていくので(輝かしく日本の歴史に刻まれるはずの
本当の「維新」はこの時点で潰え去ったといっても過言ではないでしょうネ)、
この時期は江戸土佐系ラテンパワーがどんより薩長公家パワーに完敗したわけで(爆)、
かえって龍馬さん、その場にいないほうが幸せだったといえるかも??

正直いって薩長土肥のなかでかろうじて興味がわくのは土佐メンバ-なので、
ようやっと西国の人の書簡を読めましてございますが、薩摩とか長州になると・・・・・。
慶応3~4年は言うに及ばず、生麦事件やら英国公使館焼き討ちとか文久年間から
すでにまったく意味がわかんねぇよ~なこの二藩の人々(一部の有名人)なんで(笑)。
興味が湧かなすぎ・・・・。
長州戦争のあたりなんて調べるのどーしよ自分とか思うと、
砂吐きそうで前途多難です(思わずぼやいてしまった)。
そんななかでは、龍馬さんの書簡はホントに楽しかったです☆

とここまで好き放題に語りまくってしまいましたが、最後にひとつ。
この書簡集を読んでも強く感じました。
新選組と同様、龍馬さんもそろそろフィクションの世界から解き放たれて、
歴史のなかのおける坂本龍馬についてじっくり研究がされるべきだということ。
フィクションでムリにカリスマ化するとか、格好良く仕立てなくても、
史実の本人だけで充分面白いし、魅力的ですから!
そりゃ多少は・・・・×××で△△△なところはありますが(笑)、
龍馬さんの場合すべて愛嬌で許されます♪ので(爆)。
どなたか既存の小説にとらわれない、冷静なる研究よろしくお願いしまーす。

来年のフィクションドラマはフィクションとして楽しむとして、
(あっしも楽しみですよ!勝先生以外に関しては・笑)
その前に、龍馬本人に興味がある方にはおススメのホンです。
いささか龍馬愛熱めの解説も、書簡があるのでぐんと薄く感じますし(笑)、
この一冊で家族構成や友人関係から略歴もよくわかります。



とかいいつつ、口直しに岩瀬書簡集を読み直している自分でありました。
(やっぱり、落ち着くんだな~~。笑)
by aroe-happyq | 2009-11-06 11:14 | | Comments(0)