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東都アロエ

『風立ちぬ』に登場する大正昭和の〈東京〉の景色

タイトルに今まであれだけこだわってきた「の」の字が入っていない!
ということでひそかに注目していた(笑)、宮崎監督の新作『風立ちぬ』。
先日、レディースデーを利用して見て参りました☆
(超~っ混雑していましたが、大人がほとんどだったような←これもジブリ作品では新鮮!)

なるべくネタバレしないようにすすめていくつもりですが、
ちょっとは、かすめるかも・・・・しれません(汗)。

ネタバレなしで全体的にささっと感想をのべますと、
『ポニョ』のときの「なんか無理してる?」感がなく、監督ご自身の自伝のようだったり、
大好きなものをたくさん詰め込んでいたりして、魂のこもったキラキラした、
面白い映画でした。
この作品を自分の言語で、世界のどこよりもはやく観られる、
幸福感をおぼえました。
なぜ堀越二郎と堀達雄なのか、という点も、監督さんがどちらも好きだから(笑)
なんだなぁ、と。おかげで作品のなかで違和感なく融合していました。

いろいろ批判のある、煙草を吸うシーンが多い問題も、
だってそういう時代なんだから!吸ってて当然ですけど、なにか?ってところですネ(笑)。
前に記事に書きましたけど、最近の江戸の時代劇も、これぐらい煙管登場させないと
かなり不自然ですから!江戸からずっと、明治大正昭和と、煙管から紙たばこになっても、
日本人の大勢がヘビースモーカーだったことは周知の事実(笑)。
こればっかりは、どーにもならない事です♪
(それに仕事が出来る男たちのたばこを吸う姿って、かなり素敵じゃありませんか!
実写だけじゃなく、アニメでも同じなんだ、と今回の作品で気づきました)

なにせ大ヒット作品なので、多くの人がいろいろ感想をのべておられましょうから、
拙ブログとしてはこれぐらいにして(笑)、
タイトルどおり、この作品に登場する〈大正昭和の東京の風景〉に特化して、
ちょっと語ってみたいと思います。

日本のアニメの技(わざ)の最高峰ともいえる手練れ揃いのジブリです。
冒頭の二郎の故郷の田園風景の美しさだけで、うはー♪って感じでしたが、
そのスペシャルな職人の手によって、
こんなに昔の東京を描いてもらえるのはおそらく最初で最後。
まさに眼福のオンパレードでありました。
(ストーリーはもちろんですが)この景色の描きこみの見事さも
この映画の美味しさのひとつといえるのはないかと思います。
そういうわけでわたしはたっぷりと味わいました☆
(といっても、主人公は名古屋にいってしまうので、東京のシーンはそんなに長くないんですけど・笑)




まず最初は上野あたり編。
舞台が東京に移ったのはいいけれど、なんせのっけから大正関東大震災の、
大正12年9月1日の東京からスタートです。つまりいきなり大混乱状態。
避難する人々が上野広小路で右往左往しているシーンが圧巻!
おそるべき人数のモブシーンです!(これを堪能するには大画面での鑑賞推奨)
服装とか荷車の押し方とか、細かいところでしっかり大正の東京で、感激です♪
(テレビ番組のメイキングでみたのですが、一人一人を描きこんでいるので、
このシーンの作画がとにかく大変だったとか。そう語っていたスタッフさんを思い浮かべつつ、
このシーンに感動しました)
主人公二郎は地震に遭遇する汽車のなかで、ヒロイン菜穂子と出会いますが、このときは
菜穂子に付いていた女中のお絹さんが足に怪我をしたので、そっちでバタバタします。
二郎はお絹をおぶって高台の神社に避難したり、大活躍!(笑)

さて、ここにこの時代に生き残っていた江戸っ子が登場します。
菜穂子の家にいた鯔背な法被姿の兄さんです(もちろん超がつく脇役です)。
説明がないので勝手に解釈すると、あの兄さん、里見家への出入り職人(植木や?大工?)で、
地震見舞いに真っ先に里見家にきたところに、二郎がやってきたっぽい。
で、高台の神社に二郎といって、避難しているお絹を里見家までおぶっていく。
この兄さん、お絹を「お絹坊」と呼んでいるので幼なじみらしい。
名前もいわずに去って行く二郎をみて、兄さんはつぶやく。
「いい男じゃねえか・・・、なあ、お絹」
(いや、あんたもなんだか、かっけーよ!と心で叫んでいたのはあたしです・笑)
大正の東京を描くにあたって、ひとりぐらいはこういう鯔背な兄さんを出しとかなくては
という配慮だったのでしょうが、わたしのなかではピカ一に素敵脇役キャラでした(笑)。

お絹と二郎、すごくイイ感じだったんですけど、お絹はこの直後お嫁さんにいく予定だったらしい。
でものちに、必死に二郎の居所を探して、借りたモノを返しにくるあたり、
お絹さんがせつないなぁと。二郎は彼女にとって「白馬の王子」だったのに。
(二郎のほうも、まんざらでなかったような。なのでのちに菜穂子に一目惚れでした的
なことをいうけれど「いやいやいやいや、お絹さんはどーした」とツッコんじゃいました・爆)

というわけで上野編はここまでにして、次は大川沿い編へ。
(だいぶ、細かいネタバレすいません)

二郎の研究室があるのが深川らしく、今度は大川こと隅田川界隈が登場します。
二郎の妹が訪ねてくるのですが(冒頭、この妹の「にいにいさま」という言い方にやられました)
この妹を送っていくのに、出てくるのが「一銭蒸気」!!!
まさか、アニメで一銭蒸気が見られるとは思いませんでした♡
しかも黄昏時の美しい時間帯ですよ、ゆっくりと船が隅田川を渡っていくんですネ~!
(すでにこのあたりでごっつぁんです!ありがとうございますっ!って手を合わせたい気分)
そして二郎のうしろには、五重塔が!!!!みえちゃったりしてね!
わお~~~~~っっって、感じです。
しかしこの五重塔はどれかしら(笑)。やっぱり谷中天王寺の五重塔(昭和32年まであった)か!?
それとも???(笑)

そしてラストは東京郊外編(たぶん世田谷あたり)。
上野にあった菜穂子の家は地震後の火災で丸焼けでになっていたので、
世田谷に新居を建てたらしい。なので、そこが登場します。
今の世田谷では考えられない、すごーく自然がたっぷりで鄙びた世界です。
トトロがたくさん住んでいそうな、のどかな感じ。
単線の一車両のみで走っている鉄道が登場するけれど、そのアングルが・・・・・。
むかしみた成瀬巳喜男の映画(「あにいもうと」あたりかしら?)に出てきた多摩川付近
を通っていた鉄道のシーンにちょっと似ていた。
なのでどの鉄道かはわかりませんが、多摩川の手前ということで世田谷かなと(笑)。

そういえば、女性の所作などを学ぶためにかなり成瀬巳喜男の映画を参考にした
とスタッフさんがメイキングでいってましたっけ。
たしかに隅田川・佃島の渡し船も「女が階段を上るとき」に登場するし、
成瀬映画はロケが多くて、東京の当時の風景を楽しめる作品が多いので、
参考にするにはもってこいかと思います(わたしもなんだかんだいって、好きでよく観ます)。
でも!!!!決定的に違うのは、成瀬映画はモノクロームなのに対して、
このアニメ映画は総天然色なんですよねぇぇぇぇ!!!!
しかも実際の色よりも、ややカラフルで美しい!
この差はかなり激しいですっっ。

もちろん東京以外のシーンも、いろいろ「風景」だけでも、たっぷり楽しめます☆
二郎の成長とともに、鉄道も成長していくとか(蒸気機関車の形がかわっていく)。
戦闘機の試作機を飛行場へ運ぶのに牛を使っていたのも印象的(つか日本的)。
あんこまたは羊羹をカステラで挟んだ「シベリヤ」が登場したり、
とにかく細かいところまで、懐かしい日本がたっぷりです。

ま、多くの人がいうように、主人公の声はとっつきにくいとか(笑))、
戦前戦中に活躍した技術者が主人公である手前、煙草以外にもなんやかんや
いわれていますが、宮崎監督の愛たっぷりの「素敵な暴走」は
成功だったように(わたし個人としては)思います。
こういう手練れの監督さんが、自分の好きな世界を作品にして、
つまらなかった試しはありませんしネ!
飛行機が好き、とか日本の風景をみてみたいとか、ちょっぴりロマンス作品を
味わいという大人の方に、オススメです。
こういう作品をアニメで楽しめるのは、日本人である醍醐味かと思いますし☆


そういえば!東京の風景、広小路のモブシーンや一銭蒸気のシーンが出てくるので、
4分バージョンの予告編を貼っておきます☆




それから夢もロマンも吹っ飛ぶけど、たしかにその通りだ!の
1分でわかるシリーズの「風立ちぬ」版も貼ってみます(笑)。
※鑑賞予定のある方は、映画鑑賞後にご覧下さい

Commented by いいですねぇ(^^) at 2013-08-18 07:50 x
こんにちは(*^^*)
あぁ……図書館ばっかじゃなくて
たまには映画見よう!って
思いましたw ありがとうございました♪

最近、慶喜さん探しのついでに
台東区の銭湯めぐりなんかしていて
懐かしい東京の風景に浸っていたトコでしたので
これは大画面で見なくては!ですね♪
Commented by はな。 at 2013-08-18 11:49 x
いいですねぇ(^^) さん、こんにちは!

>台東区の銭湯めぐり
銭湯のある町って、たいてい昔の東京の風情が残っていて、
いい雰囲気なんですよねーっっ♪

ジブリなのでいずれは日テレで放映すると思うのですが(笑)、
細かい部分をみたい時はやはり、大画面に限りますネ!
この映画での東京シーンはけして長くはないのですが、
短いなかで凝縮されたいい感じの古き東京はがっつりと堪能できますので、お暇なときなどに、楽しんでいただけたらなによりです♡


by aroe-happyq | 2013-08-12 19:14 | 江戸東京あれこれ | Comments(2)