2006年 10月 06日
「大奥秘記」を読んで
「大奥秘記」!!
ただし・・・・・・・・・
・・・・・大奥なんてどこに登場しない、タイトル間違いの本ですが、
作者の「旧旗下の一老人」さんが語る柳営の内幕うちあけ話です。
すごく面白かった・・・・・!!!
(旧旗下の一老人とは村山摂津守さんのことです)
「柳営秘記」としたほうがわかりやすいです。
「御自分」問題も面白いこの本ですが、柳営の細かい解説に関しては『旧事諮問録』よりもさらに深いです。
なかでも老中・若年寄になるためにほとんどの人がやらないといけない「御奏番」。
なんとこの役職は、大名のお殿様の性根を叩きなおすための試練のお役目だったとは!
「御奏番」というのは朝廷と柳営の間にはいる役職で有職故実に通じ、
礼儀作法をしらないとできない・・・・・・というのが公式な発表の職務内容だが、
その実、新人「御奏番」はただのパシリ。
そして煙草も吸ったりしてはいけないし、やたらと先輩の叱られるのだった・・・・・・・。
そうして大名のボンボンの「天狗の鼻っ柱をへし折られる」と、
老中や若年寄になる権利が得られる・・・・・・・・・・・。
悔し涙のあとに栄光があるわけです・・・・(スポ根ものかい!)。
なんとも厳しいっっっ~~~~。
そういえば、阿部伊勢守正弘が老中になるまえ、御奏番にならないでなんとか
寺社奉行へぽーんと昇進したがっていたそうだが、
きっとイビられることを知っていたのだろう。
そして希望どおりにはゆかず、しっかりと御奏番をお勤めでいらっしゃいました。
(先輩に小突かれる、21歳の微笑みの貴公子・正弘。ちょっとみてみたい気もする・・・・・・・・・)
江戸城ものの小説を書かれるならば、この「大奥秘記」は要チェックです。
城のなかのさまざまな人間関係がわかります。
ちなみに「大奥秘記」は『新燕石十種 』第8巻 (中央公論社 1982年)に収録されております。
村山鳥逕は明治10年生まれ。宗教小説「ささにごり」や短編集の「乾蝴蝶」、また「野心」などという作品が残っています。国会図書館のデジタル本で読めます。
彼はロシア文学の本屋などもしたようです。ネットをチェックしてみてください。
私は短編集の「乾蝴蝶」をデジタル版で読みましたが、彼の私生活を元にしたもののような気がしました。明治40年代初頭の出版で、当時の世相や東京の雰囲気がよくわかります。
彼は牧師になったようですが、「没年不詳」とは!
「名無し」「通りすがり」名義のコメントはほぼスルーしているのですが、
このたびは例外です。
いつも気になってきた村山鎮関連の情報をお寄せいただきありがとうございます!
村山鎮のご子息が牧師になっていたとは意外です。
こうした貴重な情報は、
細々と営む当ブログに旧幕臣の情報を求めて訪れる方が多いこともあり、
たいへん有り難く存じます。
今、中公文庫の「鳶魚江戸文庫」全36冊+別冊2 を2/3くらい読み進めているところです。このご子息の情報は17巻目の「御殿女中」中、朝倉治彦氏の編集後記のp.479の最後の行にありますので、お確かめください。私は2,3日前、これを読んだばかりで、ネット検索して、貴ブログに出合いまして、すぐコメントさせていただきました。「名無し」で失礼いたしました。
それからネットで調べ、また国会図書館のデジタル版で、読める範囲のものは今読んでいるところです。アマゾンその他ネットで買える本は、今注文中です。
中公文庫の「鳶魚江戸文庫」の御殿女中、うちにありましたので
確認してみます。
国会図書館のデジタルライブラリーは時を忘れてむさぼり読んでしまい、
たいへん危険ですが、昔に比べて便利な世の中になりましたです。
このたびも有り難い情報をありがとうございました☆












