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東都アロエ

ザ・外国奉行

近所の図書館で少しずつ借りて読んでいる『幕末維新論集』(全12巻)もとうとう後半。
そして7巻目、『幕末維新と外交』にたどり着き、
とうとう外国方の詳細な解説&論文があった。
もうほとんどこれは自分へのご褒美のような待ってました!の一本っっ。

加藤英明 「徳川幕府外国方:近代的対外事務担当者の先駆 -その機構と人ー」                      (吉川弘文館『幕末維新論集7 幕末維新と外交』収録)

外国奉行、外国方についてはあまり研究をされる方がおられないようで、有名なところでは
土居良三『幕末 五人の外国奉行』があるにしても、これも初期の五人に限っての本で、
全体的に調べ上げて、まとめた論文、レポ、本は自分が調べた限りではほぼゼロに近い。
岩瀬肥後守に限っては彼に焦点をあてた本や論文はかなりあるので、
初期外国奉行の仕事の一端が垣間見られるのはありがたいことだが、
でも外国奉行の機構全体が知りたいときには加藤さんの論文しかないような気がするので、
ここに紹介したい。

とはいえ、紹介といっても、内容は外国奉行の成り立ちとその変遷なので、
ブログで話題にできる愉快なネタがあるわけではなく、
外国奉行ファンの水先案内(笑)としてなくてはならないが、
そうではない方には面白くもなんともないといえる。
ただ、特色的なのは外国奉行といえば岩瀬という本の多いなか、
この論文がフューチャーして いるのが水野筑後守忠徳だということ!
確かに新設の外国奉行に筆頭で任命されたのは水野であり、
(ま、永井と井上も実は同日に任命されてはいるが、日記も記録も残ってない!
水野には「幕末外国関係文書」の附録に「水野忠徳雑録」があるのだ)
さらに後に再任されたりしている手前、在任期間も長いので、
彼こそはザ・外国奉行といえるかもしれない。
岩瀬・永井など主力を大獄で欠いた後、堀織部正とともに外交をささえたのは水野であった。
そして、堀も切腹しちゃって、一人で後輩を支え続け、外交に携わった。
それから数年して急に箱館奉行に転任命令が下ると、
わずか数ヶ月で隠居してしまったのだ。
(実は隠居後のほうがまた水野さん、クーデーター計画の黒幕とかすんごく活躍されるのですが)

そして外国奉行の権限が次第に弱くなり、仕舞いにはただの外国人接待係のように
なってしまうという過程もこれを読むとよくわかる。
とはいえいちばん活躍できたのは外国奉行の前身ともいうべき、目付海防掛という
役職だと思う。この目付であるかぎり、将軍の目代という大きな権限を有し、そのうえで
外国使節との応接の全権委員であったりするので、ときには勘定方も老中も大老も
彼らに従わなければならない場面さえあったほどだ。
それがすでに外国奉行とされた瞬間から、実は権限は大幅に狭められ、
単なる外交の専門職とされたきらいがある。それがさらに、老中首座安藤や、
将軍慶喜のように自分で外交をやりたがる上役が登場すると、もはやただの接待人
となるしかなかった・・・・のである。
(そういう意味では、岩瀬や永井たちは自分の才能が発揮できるもっとも良い時期に
海防掛であり、外国奉行であった)
水野は外国奉行を務めながら、権限を奪われる過程をみつめていたし、
最後には我慢ならなかったと思われ、左遷のち引退という道筋をたどった。
実は永井は慶応年間になって外国奉行を大目付と兼ねたが、すでに慶喜が登場し始めて
いたし、陰のアドバイザーでしかなかったものと思われる。
・・・・・というあれこれはこの論文を読んでいくと、ただの妄想・憶測でなく、
裏づけをとれていくので、とてーもありがたいのだ。

それはさておき(笑)、そういうわけで福地源一郎の著書以外では、
ちょっと珍しく、水野目線、メインの、しかも外国奉行全般を扱った論文に出会えたことに乾杯!
・・・意外にも水野さんをプッシュしているのには、彼こそは長崎海軍伝習所を作りましょうと
最初に上申した人、つまり「海軍伝習所」ファンとしては恩人!?というわけがあるのだ(笑)。
Commented by yukisayo62 at 2007-02-24 22:08
初めてコメントさせていただきます。小夜と申します。
入潮さんのサイトではな。さんの存在を知り、しばらく前から拝見しておりました。私も外国奉行周辺は好物なので、こちらの日々の更新が頼もしく楽しみでエネルギーを頂いております。
昨日はちょうど図書館に出かける前にこちらの記事を発見し、早速『幕末維新論集7 幕末維新と外交』を借りて、ご紹介の論文を読んでみました。外国掛の組織の実態が初めてはっきりと頭の中に像を結んだ気がします。収穫でした。ありがとうございます。
水野さん、いいですよねぇ。ガンコで押しが強くて(笑)、重戦車のようにタフだし。大好きです。
水野さんがお好きなら・・もうご存知かもしれませんが・・中公新書から出ている『幕末の小笠原』(田中弘之著)、面白いですよ~。
小笠原に巡検に出かけた水野さんがやりたい放題で、お茶目で笑えます(彼を知らないと笑えないとは思いますけど)。
Commented by aroe-happyq at 2007-02-25 10:05
拙ブログにコメントを書き込んでくださり、ありがとうございます!
小夜さんのブログにもお邪魔していたのですが、コメントのタイミングを逸してまいりまして、ご挨拶が遅れてしまいすいませんでしたっっ。

『幕末の小笠原』、なぜかしっかりチェックしておりましたっ(笑)。
古本屋さんで偶然、手にとったのがきっかけだったのですが、読んでいくうちに、ハマリました。
下りられそうにない山を「言い出したら聞かない」ために無理に登り、やはり下りられずに転がり下りた(落ちた?)水野忠徳はまさに伝説!です(爆)。この小笠原大冒険を読んでから「水野ってなんかすごく可笑しい」とその魅力に開眼したような気がします。初代五人の外国奉行は個性派揃いですが、水野さんの味わいは格別だと思いました☆

Commented by 桜餅マナカ at 2013-11-08 08:34 x
はじめまして、桜餅マナカと申します。奈桜さまのブログで、はな。さまのお名前と「外国奉行」の文字を拝見しまして、お邪魔させていただきました。

このご紹介されている論文、わたしも読みました!
書簡掛などの下っ端外国方についても載っていて、どんな職務だったか知ることが出来て、とても嬉しくなりました。
書簡からの引用もまじえていて貴重な論文ですね。

水野筑後さま素敵ですね(*´∀`)vvv
頭が良くてやんちゃでゴリ押しなところがとても面白いです。
福地桜痴の「幕末政治家」でニヤニヤとしていますv

検索し、たどり着いたのがこの記事で、大好きな論文だったのでここにコメントさせていただきました。
わたしも外国方(に勤めたひとり)を調べているので、またこちらにお邪魔させてくださいませ。
Commented by はな。 at 2013-11-08 14:38 x
桜餅マナカ さん、こんにちは!
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

なにより外国奉行について調べていらっしゃる方に、
拙ブログをお訪ねいただいて、ものすごく嬉しいです!

外国奉行に関する論文が少ないなか、この論文は本当に学ぶことの多い、有り難い論文ですよね♪

>水野筑後さま
さまざまな場面で、魅力的な方です(笑)。
ついつい(笑)印が付いてしまいましたが、桜餅マナカさんのおっしゃるとおり「やんちゃ」で、岩瀬忠震いわく「当世無双」とされる、
愛すべき初代外国奉行筆頭です♡

水野さんについては、「外国奉行ズ」というカテゴリーで、
いろいろと記事に書きましたので、ご覧いただけましたら幸いです☆
by aroe-happyq | 2007-02-22 18:23 | 外国奉行ズ | Comments(4)