人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

東都アロエ

正弘の父・正精の遊び方 @想古録 後編

前回、硬派?な一面をみせた阿部正精さんとそのお友達の青春編。

さて今回は・・・・その後のお話です。


365 大久保侯の機智、阿部候を驚かす(想古録1 P189)
※一部読みやすくしております

阿部侯或るとき大久保侯の弁当を開き、
ひそかに其飯を食尽くして素知らぬ顔して居られたり。


状況を説明いたしますと、阿部正精と大久保忠真は共にと登城日
だったのでしょう(大名は弁当持参)。
いつの頃かはわかりませんが、老中の同僚であった時代よりは
若い頃のお話かと思います。
とはいえ、立派に家督をついだ大人同士です。
ここは学校ではありません(笑)。
でも阿部侯は弁当の盗み食いをやらかしました!

すでにして時刻もはや正午となりければ、銘々弁当を取り出して食事しけるに
大久保侯の弁当は器のみにて正味なかりしかば、一座の人々
みな気の毒に思いけるに、(大久保)侯は左まで意に介する模様はなく、
「今朝少しく食し過ぎたれば、いまだ物欲しからず」とて平素の如く談笑し、
しばらくして何事か用向きありとて先に帰られぬ。


当たり前ではありますが、ランチタイムは今も昔も正午なのですね(笑)。
殿中席(大名が詰める部屋)が同じ人々はみんなで弁当を開けるようで、
なんだか微笑ましい光景であります。
・・・・・が、大久保の弁当だけ中身がカラ。周囲が気の毒がるのをよそに
本人は「朝食を多めにとってきたから、空腹ではない」と意に介さず、ランチトークを
楽しんでいた様子。

阿部候さもしたり顔に、今日こそ大久保を担いで、食物に事を欠かせやりけりと
喜び笑うて邸に帰り、近侍の士にこのことを誇りて話されけるに、
侍士は膝をたたいて感歎し、
「なるほどそれにて始めて会得したり、先刻大久保侯お立寄にて、
『時分になり、腹空きたれば湯漬けにても振舞われよ』とて、
たくさんに料理を召し上がられ、かつお供の衆までことのほか多量に
食用して帰られたれば、奇怪のことを考えおりしが、
これ正しく弁当の復讐に来られたるものに相違なし」
と云いたれば、
阿部候呆然自失して、「ああ我れ彼を担がんとしてかえって彼に担がれたり」
と大笑いにて笑われけるとなん。 (羽倉外記)



見事に弁当の復讐(笑)を果たした大久保侯、素敵です!

お互い友人同士だからできるお遊びですが、
なかなかに少年のこころを忘れない、面白い大人になった二人です(爆)。

情報の出所は前回と同じ、羽倉外記ですが、
前回の褒めちぎり話とうってかわったおバカ話・・・・その双方を
提供してくれる羽倉さんは素晴らしい☆
フツー褒めたらそこで終わりそうなものですが、
阿部&大久保のユーモアある一面も教えてくれております♪
(この正精お父さんに目に入れてもいたくない♪ほど愛された正弘君ですが、
彼にはどうしてこういうエピソードが伝わっていないのだろうっ。
きっとたくさんあるはずなのに~っ)

それにしても殿中席でのお弁当エピソードって、盗み食い以外でも
いろいろありそうですよね(笑)。

想古録、ぼちぼちではありますは、まだまだ続きます☆
by aroe-happyq | 2008-10-15 11:19 | 幕臣系(老中など) | Comments(0)